芝生と流れの庭
交通量が多く、店舗などが並ぶ通りから一本入った通りにあるH邸。付近は工場なども点在する住宅地にあり、そういった場所柄、いろいろな人が行き交う所にあります。
庭は、外からも開放的な趣にしたい反面、防犯上の問題もありました。
そこで、門とフェンスは道路から下げ、駐車スペースを設けることでゆとりを持たせ、オープンにしました。
駐車スペースは、御影石の板石をアクセントに川砂利の洗い出し仕上げでカッチリと。門をはさんだ反対側は、割栗石をざっくりと敷きつめ枕木をアクセントにしつつ、雑草なども自然に馴染む雰囲気になるよう対照的に仕上げました。
門扉はオリジナルのデザイン。開放感を妨げないよう、細い線のデザインにしました。あえて防サビ加工をしていないので、年月を経てサビが深みを出し味わいのある風合いになっていきます。
デッキは単調になりがちなので、いかに庭と組み合わせることができるかがポイントでした。
そこで造ったのは、すのこ状の床板が乗るかたちで高低差のある2段のデッキ。このデッキは庭のいろいろなところへと繋がっていきます。
デッキの奥には和室から臨む小窓があり、透水石を積んだ壁面からつきだした石どいと水鉢が見えます。
石どいから落ちた水は水鉢へ。溢れた水は流れていったん見えなくなりますが、表の庭へ流れていきデッキをくぐり、玄関前から湧く水と合流します。
玄関前にも水が湧くように加工した水鉢があり、奥から流れてきた水と、ここからの水が幅の広い流れとなります。
同じ樹種の足下でも、水際とそうでないところでは使う下草が違うので、ポイントごとに雰囲気を変えることができます。
ご自宅前は通学路になっていて、他の場所を作業中にようすを見ていると、おもしろいことにわざと歩きにくくした割栗石の上をほとんどの子どもたちがわざわざそこを歩いて行きました。子どもたちを含め、いろんな人の記憶に残る場所になると嬉しいですね。
- 植栽樹種
- 撮影
- 大久保聡(ガネーシャ)