限られたスペースと材料でどこまでできるのか

ある意味、実験場でもある庭

拙宅です。

施主様がいないというのは、なんと自由で、不自由なことでしょうか。

例えば、施主様がいればある程度「ああしたい、こうしたい」というご希望を伺い、ご予算はもちろん、いろいろな条件も鑑みながら客観的にご提案・施工ができます。
しかし、ここは誰が予算を出してくれるわけでもなく、かといって何のリクエストもないのです。
最初は大小さまざまな石の混ざった土(建築物の土台としては強いので使われることが多い)と、3段ほどのシンプルなステップがあるだけのスペースでした。とても植物を植えられる状態ではなかったので、まずは土を入れ替えるところからのスタート。

そこから約10年ほどの間に、アイデアを形にしてみる実験を重ね、現時点でこのような庭に。石などの材料もほとんどが手元にあったもの。両手で輪にしたくらいの太さで植えたコナラも今では抱えるほどのサイズに育ちました。

そ材の耐久性やデザイン、あしらいを実物として見る


枕木を立てた柱に、アンティーク調のライトと看板。
インターホンとポストは、コンクリート製の柱と透水石をベースに、下地を試行錯誤しながら漆喰壁に埋め込みました。

御影の板石は不要になったものをいただき、しばらく眠っていたものです。

限られたスペースで、湧水から流れをつくる

小さいながらも流れを作る実験。
石臼の底に水道を引いて、栓をひねれば水が湧くようにしました。ここを水源に、挽き臼などの飛石を抜けて小さな流れになります。


流れは、写真左下の岩間を抜けて、道路の雨水路に落ちるようにしました。ハギの季節はひときわ風情が増し、涼しさを演出します。

玄関前は使い古しの枕木でスペースを設け、園路にはコナラ、サワラ、アラカシ、コハウチワカエデなどを植栽しました。

板石の隙間は、当初、土の中にゴロゴロと埋まっていた石を使っています。

使い勝手を優先したレンガ敷きのスペースと薪棚

リビングからのぞむ方には、工作作業など多目的に使うスペースとしてレンガを敷きました。

趣味の焚き火に使う薪をストックしておく薪棚も設置。これは通りからの目隠しも兼ねています。薪棚の裏にあたる面からは花壇のバラを誘引し、外から見ても圧迫感が和らぐようにしました。

実用性とデザイン性をそなえたベンチ

オリジナルデザインで作家さんにオーダーしたベンチ。
フレームはアイアン製。座面は木材を使うことで座ったときの感触をやわらかく、また、古くなったときは交換できるように設計しました。シンプルですっきりとしたデザインながら、実用性も高くあらゆる庭になじみます。

両端は取っ手のようなバーをつけることで持ち運びもしやすく、夏は蚊取り線香を下げたり、お庭で過ごすときに何かをちょっと引っかけておくのに便利です。

足にはアジャスターがついているので、多少なら地面が平らでなくてもガタつきを調整することが可能です。

ご希望があれば受注製作販売いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

どこでもしっくりくるアイアンフレームのベンチ

サイズ:たて285mm × 横1,040mm × 高さ335mm (取っ手、座面含む)

価格:40,000円(消費税込)配送料別途お見積もり

撮影:大久保聡